【山の雷】もしも山で雷が鳴ったらどうしたらいい?雷予報のときは山は控えるべき?そんな疑問にお答え!

登山ノウハウ
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山の雷は怖いもの。
山のベテランや先輩に
そんなふうに教えられた人も多いはず。

けれどなんで怖いのか
ピンと来ていない人も
多いのではないでしょうか。

山のスキルアップは
リスクを知ることなしには
ありえません。

ここでは雷について
どんな雷があるのか、予想のポイント
遭ったらどうするについて
見てみましょう!

【熱雷】【界雷】【熱界雷】警戒したい3つの雷

雷にも種類があるんです。
この雷の種類
を知ることは
行動判断をするときに役立ちます。
ぜひ覚えてみてください。

ここでは山で警戒すべき3種類
説明しますね。
違いはそのでき方です。

でき方がわかると
どんなときに発生するのか
予測が立てやすくなります。

【熱雷】
夏など地表が温められて発生する
上昇気流による雷
【界雷】
寒冷前線付近にできる
上昇気流による雷
【熱界雷】
熱雷と界雷の両方の気質を持つ
大規模な雷
それでは詳しく見てみましょう!

熱雷は夏の昼過ぎから夕方に注意!

熱雷は発生しやすい時間帯や
発生しやすい場所が
だいたい決まっているので
避けやすい雷とも言えます。

どうやってできるのでしょう。

夏など気温の高い日は
地表の空気が温められますね。
空気は暖まると軽くなるので
これが上へ上へと
上昇しはじめます。

これが上昇気流というものです。
上昇するにつれて
周りの空気に冷やされていき
通常は4000mほどで
周りの空気と同じ温度になって
上昇は止まります。

このとき見られるモクモクとした
夏の雲が積雲です。

ところが上空の気温が
上昇していく空気よりも
低いとどんどんさらに上昇していき
積乱雲に発達します。

いわゆる入道雲です。
そして雷雲というヤツです。
夕立を降らす雲でもあります。

このようなでき方なので
熱雷の発生しやすい時間帯は
昼過ぎから夕方にかけて。

発生しやすい場所も
気温が上昇しやすい内陸や盆地の
低山になります。

富士山や鳥海山など
標高の高い山ではあまり
発生することは少ないようです。

夏の内陸の低山に出かけるときは
気温の高い日は熱雷に要注意ですね。

界雷は前線や低気圧の動きに注意!

発生が予測しやすいのがこの
界雷です。

寒冷前線は
寒気の上に暖気がのっかることで
上昇気流となって
積乱雲が発達しやすくなります。
つまり雷雲が
できやすくなるのですね。

また上空に寒気を伴った
低気圧も雷雲が発達しやすいので
注意しましょう。
これが寒冷低気圧です。

寒冷低気圧は天気図をみれば
前線を伴わない
ちっこい低気圧なので
なんだか見過ごしてしまいますが
要注意です。

界雷は天気図や天気概況をチェックし、
前線や低気圧がいつ通過するかが
わかれば避けることが容易な雷です。

熱界雷は最大級の警戒を!

もっとも警戒が必要な雷が
熱界雷
これは熱雷と界雷の二つの
性質が合わさった雷です。

やっかいなことに
規模も大きいうえ、
広範囲で長時間にわたって
暴れます。

熱雷なら午後、
界雷なら前線が通過すれば
などという限定もなく
どの時間帯でも発生します。

それではどう予想できるのでしょうか。
ポイントは天気図や気象予報士の天気概況。
次のようなワードに注意しましょう。

上空に寒気を伴った低気圧
前線を伴わない低気圧

これらは寒冷低気圧
動きが遅いため
悪天が2〜3日続く傾向があるのも
この雷の特徴。

雷がおさまったと思っても
またゴロピカ再開することも。
ホントやっかいなヤツです。

寒冷低気圧はその東〜南東に
積乱雲が発達しやすくなります。

もし登る山域がその低気圧の
東〜南東側にあるときは
しばらく雷雨が続くものとして
警戒が必要です。

また日本海から寒冷前線や
停滞前線が南下するとき
暖かく湿った空気が
前線に流れ込みやすく
積乱雲が発達しやすくなります

山での遭難が発生しやすい
気象条件ですので
無理な計画や行動は厳禁です。

雷を避けるには

気象予報士のワードに注意しよう

雷を避けるため
天気図や高層天気図と
睨めっこするのもいいですが
毎回それでは疲れます。

それではどんなふうに
チェックしたらいいでしょう。

気象予報士が天気概況で次のワードを
使うときは雷に警戒し、
場合によっては予定の山域周辺を
天気図などから予想しましょう。

上空に寒気があって大気の状態が不安定
暖かく湿った空気が流れ込み

気象予報士がこのワードを
口にしたときは
必ずといっていいほど
発雷確率が高まる」と
注意を呼びかけているはずです。

さらに詳しく確認したいときは
予定の山域が
・熱雷が発生しやすいか
・寒冷低気圧の東から南東に入っていないか
・日本海に寒冷前線や停滞前線がないか
などをチェックしましょう。

アプリを活用する

もっと手軽に確認するには
山岳天気アプリを活用しましょう。

目的の山域の発雷確率を
予報しているサービスもあります。

・お天気ナビゲーションPRO
発雷情報で各山域ごとに
3時間ごとの予報を
0〜100%で予報。
・登山天気
各山域の時間ごと予報で
雷活動度として
3時間ごとの予報を
4段階で予報。
また雷が近づくとアラートで
知らせるアプリもあります。
・お天気ナビゲーター
雷アラート
エリアを登録すると
そのエリアに雷が近づいたとき
アラームで知らせてくれる。

現地でゴロゴロ聞こえたら

もし登山中に
遠くでゴロゴロ聞こえたら
その雷がこっちに
来るのか来ないのか
判断目安をご紹介します。

雷までの距離は?どのくらいの時間でこっちに来る?

雷鳴が聞こえたら
だいたい10km ~15kmの範囲に
雷雲がいます。
雷雲の移動速度は
10km/hから30km/hほどですので
ゴロゴロ聞こえたら
早いと1時間以内には
雷雲が来ると考えられます。
しかし落雷範囲
ときには10kmにも及ぶ場合もあり
まだ1時間あると考えず
即座に退避行動をとりましょう。
またこっちに来るかどうか
目安ですが
風向きを確認します。
雷雲が風上にあれば
確実にこちらに接近します。
もし風下や
まったく違う方向であれば
雷雲直撃の確率は
だいぶ下がります。
とはいえ、
落雷範囲の広さを考えると
安心できるとは言えません
また熱界雷の場合は
広範囲で雷の活動が活発になります。
ゴロゴロ聞こえたら
何はともあれ
身を守るための行動をとりましょう

山で雷に遭ってしまったら

遭わないことが一番です。

山で雷に遭った場合
こうすれば良いという
確実な安全策はなく
被害リスクをできるだけ
軽減させる対策を取ることになります。

金具を外せ?

一昔前は
雷を避けるには
身につけている金具を
はずせと言われました。

雷は電気だから
電気を通しやすい物質を外せば
落雷しないという根拠からのようです。

しかし昨今では様々な検証結果から
金属があってもなくても
条件がそろえば落雷することが
分かっています。

雷が落ちやすいもの

高いところに落ちる、と
言われるように
雷が落ちやすい条件があります。

・とんがっているもの
・周囲より高いもの
避雷針はこの雷の性質を
利用したもので、
トンガっていて
周囲より高いところに
ありますね。
落雷リスクを下げるには
この雷の性質を利用します。

避難する場所

山小屋があれば
そこへ逃げ込むのが一番ですが
そうもいかないときは
どこへ逃げ込めばいいのでしょう。

樹林帯なら
じぶんよりも高い樹木があるので
安心できそうです。

ところがそうでもないんです。
すぐ近くの高木に落雷したら
その電流が幹や枝などを伝わって
近くにいる人間にも
伝わることがあります。

もし樹林帯にいるならば
高い木からは離れること。
ではどのくらい離れれば
いいのでしょうか。

目安は樹木の高さの
半分以上の距離です。
10mの樹高ならば
その根本から5m以上離れます。

またその樹木を避雷針にする場合
樹木のてっぺんを
45度以上の角度で見上げる範囲
いましょう。

なお5m未満の樹木は
避雷針にはなりません。

屋外で避難中の姿勢

大勢がいる場合は
なるべく互いの距離を
大きくとります。
次に挙げるような
通電しやすい格好を避けます。
×両足を開いて仁王立ち:ダメ
×地面に腹這いになる:ダメ
正しい姿勢は
両足を閉じてなるべく小さくなる

※イラスト:百万人の山と自然安全登山より

できれば両足は地面との接地を
少なくなるようにつま先立になり
靴底の踵はくっつけます。

どのくらいじっとしていればいいの?

積乱雲が雷を発生させている時間は
15分〜30分程度のようです。

もしも運悪く雷雲に捕まったら
辛抱強く待ちましょう。

ただし
熱界雷の場合は
いくつもの雷雲が発生します。
雷がおさまったら
次の雷が来ないうちに
すみやかに少しでも
安全なところへ避難しましょう。

まとめ

山の雷は遭ったらどうするではなく
遭わないことです。

気象予報で
・上空に寒気
・暖かく湿った空気
という言葉が出た時は
大気が不安定になり雷雲が発生します。

雷については
楽観的な解釈はせず
おとなしく
雷の危険のない山域へ変更するか
下界にいることをおすすめします。

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